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シャルトルの大聖堂

Chartres Cathedral

更新日:

76285-Chartres

ゴシック建築の最高傑作-シャルトル大聖堂

シャルトル大聖堂は、パリから南西に約80kmの位置にあるウール・エ・ロワール県シャルトルにあるカトリックの大聖堂である。
フランスゴシック建築の最高傑作として知られ、宗教戦争、フランス革命、第一次世界大戦、第二次世界大戦を乗り越え、保存状態も良くほぼ13世紀の姿のまま残っている。

ガロ・ローマ時代に早くからキリスト教が布教されていたシャルトルの町は、4世紀には司教座が置かれ、最初の教会は350年頃のものだったとされる。その最初の教会は742年、アキテーヌ公ウナール1世によって焼き払われた。2番目の教会は858年、ヴァイキングによって破壊された。

876年、初代神聖ローマ皇帝シャルルマーニュの孫であるシャルル2世がキリストが誕生したときに聖母マリアが身に付けていた「サンクタ・カミシア」と呼ばれる聖遺物をシャルトル司教に寄贈した。これ以降、シャルトルは巡礼の中心地として有名になった。

3番目の教会は、962年、ノルマンディー公リチャール1世とシャルトル伯ティボー1世との戦いで破壊された後、1020年、尖塔に落雷が落ち焼失した。この教会の名残は現在サン・リュバン礼拝堂として聖歌隊席の下に残っている。
4番目のロマネスク様式で作られた大聖堂は、1134年、シャルトルの町を襲った火災では助かった。火災の後、大聖堂の周りが更地になったことによって大聖堂は拡張されることになり、そこに1145年から1150年頃に王の扉口と呼ばれる新しいファサードを建設した。しかし、1194年に再び火災に見舞われ、壊滅的な被害を受けた。地下聖堂、2つの塔、西側ファサード、一部のステンドグラスを残し全てを焼き尽くした。
5番目に建てられたゴシック様式の建物が現在の大聖堂である。火災の後、すぐにフランス全土から寄付金が集まり、再建工事が開始された。まず身廊、側廊、トランセプトの下層部分が完成し、次に聖歌隊席、後陣の放射状礼拝堂、そしてトランセプトの上部が完成。1220年に屋根が完成し、ステンドグラス、彫刻を含む主要部分の工事は1225年には終わっており、約30年という驚異的な速さで大聖堂は完成した。

フランス革命の時は地元の住民が暴徒による破壊を阻止。第二次世界大戦の時、連合軍はドイツ軍が大聖堂の尖塔を監視所として使っていると考え大聖堂の破壊を命じたが、一人の将校がこの命令に異議を訴え、自らドイツ軍の戦線に侵入し、大聖堂がドイツ軍に使われていないことを証明し破壊から逃れることができた。

1862年、歴史的建造物に指定され、1979年、登録基準(ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)が認められ、世界遺産に登録された。

西側ファサードと王の扉口

The Royal Portal, Chartres Cathedral

王の扉口として知られるポータルがある西側ファサードは、1194年の大火を生き抜いたロマネスク様式の大聖堂の現存する数少ない部分のひとつ。再建のときに新しい大聖堂の一部として取り込まれた。

右側の扉のタンパンには、玉座に座る聖母子像、左側の扉のタンパンには、雲の上に立つキリストがふたりの天使に支えられている。これを昇天と考える人もいれば、再臨と考える人もいる。
アーキヴォールトには黄道十二宮と月の労働が描かれている。

中央のタンパンは、ヨハネの黙示録の最後の審判を表現したもの。マンドルラ(光輪)の中にキリストが配され、その周りには福音史家の象徴する動物(聖マタイは天使、聖マルコはライオン、聖ルカは雄牛、聖ヨハネはワシ)が描かれている。
リンテルには十二使徒、アーキヴォールトには黙示録の24人の長老が描かれている。

ステンドグラス

Chartres

シャルトル大聖堂は世界で最も豊富で保存状態の良い中世のステンドグラスを有しており、総面積は2,600m2にも及び172枚の窓で構成されている。
ステンドグラスのほとんどは1194年の火災の後、1205年から1240年にかけて作られたと言われている。しかし、西側ファサードの3つのランセット窓やシャルトルブルーで有名な「美しい絵ガラスの聖母」の一部など1145年から1155年にかけて作られた以前の大聖堂のものも残っている。

美しい絵ガラスの聖母 / Notre-Dame de la Belle-Verrière

Chartres - cathédrale - ND de la belle verrière

美しい絵ガラスの聖母(ノートル・ダム・デ・ラ・ベル・ヴェリエール)は、聖母マリアが描かれている3枚のガラスが1194年の火災で破壊を免れたステンドグラスで、その他は再建の時に作られたもの。聖母マリアの着ている服の明るく澄んだ青色は「シャルトル・ブルー」と呼ばれている。背景の赤とのコントラストによってより一層青が際立ち、聖母マリアに焦点が合うように設計されている。

24枚のガラスで構成され、下の3枚はマタイによる福音書4章1〜11節、ルカによる福音書4章1〜13節に記された3つの誘惑について描かれている。1枚目は40日の断食の後、悪魔が現れ石をパンに変えると誘惑する様。2枚目は悪魔がエルサレムの神殿の上にキリストを連れてき、ここから飛び降りてみなさい。神はあなたのために御使いたちに命じてあなたを守らせるであろうと誘惑する。3枚目は悪魔がキリストを山の上に連れていき、ここから見える国々の権威と栄華をあげると誘惑する様。キリストは悪魔の誘惑に勝ち、悪魔は怒りで体が赤くなっている様が描かれている。 

その上の6枚はキリストが初めて奇跡を起こしたカナの婚礼が描かれている。キリストが弟子たちとカナに向かい宴に参加する場面、カナの婚礼の宴の場面、マリアがキリストに語りかける場面、マリアが給仕たちに話しかける場面、キリストが水をワインに変える場面、給仕がワインを宴に持っていく場面が描かれている(ヨハネによる福音書2章)。

その上には玉座に座り幼いキリストを膝の上に乗せた聖母マリアが天使に囲まれ、その頭上には精霊の存在を表す鳩が描かれている。幼いキリストは左手に「すべての谷は埋められる(Omnis vallis implebitur)」と書かれた書物を手にしている。この文章は洗礼者ヨハネがキリストの到来を告げたときに口にした「主の道を整え、その道筋をまっすぐにせよ。谷はすべて埋められ、山と丘はみな低くされる。曲がった道はまっすぐに、でこぼこの道は平らになり、人はみな、神の救いを仰ぎ見る」の中の一文である。(ルカによる福音書3章)

※ステンドグラスは、基本的に下から上、左から右に読んでいく

聖歌隊席の仕切り壁

Chartres Cathedral

高さ6m、全長約100mもある聖歌隊席の仕切り壁(内陣障壁)は、信者が聖歌隊席に入れないようするために16世紀初頭に作られた。

受胎告知やキリストの誕生、東方三博士の礼拝、鞭打ち、磔刑、昇天など、聖母マリアとイエス・キリストの生涯が41の場面と200体以上の彫刻で描かれている。

シャルトル大聖堂 / Cathedrale Notre-Dame de Chartres
住所:16 Cloître Notre Dame, 28000 Chartres, France
開館時間:8:30〜19:30

シャルトル大聖堂の登録基準

登録基準(ⅰ)
シャルトル大聖堂は、建築とステンドグラス、彫刻、絵画の装飾が一体となり、中世美術の最も特徴的な一面を完全かつ完璧に表現している。

登録基準(ⅱ)
シャルトル大聖堂は、フランスのみならず世界のゴシック美術の発展に多大な影響を及ぼした。ランス、アミアン、ボーヴェの各大聖堂の建築家たちは、シャルトルの基本設計をさらに豊にし、ドイツのケルン、イギリスのウェストミンスター、スペインのレオンに模倣させた。ステンドグラスの分野では、ブールジュ、サンス、ル・マン、トゥール、ポワチエ、ルーアン、カンタベリーなど、シャルトル工房の影響が広く及んでおり、作品の普及や拡散が行われている。

登録基準(ⅳ)
シャルトル大聖堂は、象徴であると同時に、基本的な建築様式でもある。ゴシック様式の大聖堂の文化的、社会的、芸術的特徴を定義する上で、最も明確な例と言えるでしょう。

シャルトル大聖堂までのアクセス方法

日本からパリまでは、エール・フランス、日本航空、全日空が直行便を運行している。パリからアミアンまでは、電車(TER)で1時間20分くらい。



シャルトル大聖堂周辺のホテル情報

シャルトルのホテルは1泊10,000円〜

ザ・オリジナルズ・ブティック・オテル・レ・ポエム・ドゥ・シャルトル
オテル・ル・ブッフ・クロネ
ホテル・ジュハン・ドゥ・ボース
ベスト・ウェスタン・プレミア・グラン・モナルク・ホテル&スパ

シャルトル大聖堂までの旅の予算

現在、行程にシャルトルが含まれるツアーはおそらく存在しない。
フリープランのツアーでパリまで行き、各々電車でシャルトルに行くしかない。

ツアー代金:140,000〜(+シャルトルまでの電車代約36EUR)

個人旅行の場合

往復航空券(1都市滞在)
成田→ドバイ→シャルル・ド・ゴール空港(22時間)/ エミレーツ航空 
=181,000円

電車代
パリ・モンパルナス駅→シャルトル(1時間17分)
=18EUR✕2=36EUR

宿泊代
パリ3泊:10,000✕3=30,000円
シャルトル1泊:10,000✕1=10,000円

合計225,900円〜(参考価格)

※燃料費の高騰や為替相場の変動などにより、価格が変更されることがよくあるので、金額はあくまでも参考程度にお考えください。

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