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基礎知識

世界遺産の基礎知識 No.5 - 世界遺産に関係する概念

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世界遺産の登録に必要な条件は、「顕著な普遍的価値があること、かつ登録基準10項目のいずれか1つ以上に当てはまること」だが、その他にも世界遺産に関する概念がいくつかあるので基礎知識 No.5ではそのあたりを解説したいと思います。

真正性

真正性は、文化遺産に求められる概念で、建造物や景観が、その文化が持つ独自性や伝統を継承していること。また修復の際には当時の素材や技術などを尊重しなければならない。

簡単解説!- 真正性 -
歴史的、芸術的価値があり、この遺跡は本物である!ということ。文化遺産の場合は、建築当時の素材のままである、増改築はあまりせずに当時のまま残っている。修復する場合は、ヴェネツィア憲章に基づき、創建当時の素材、工法などを使用する。自然遺産の場合は、人の手が加わっていないかがポイント。なので、世界遺産登録後、周辺が開発されると危機遺産リストに登録され、登録抹消の可能性が出てくる。

完全性

完全性とは、すべての世界遺産に求められる概念で、顕著な普遍的価値を構成するために必要な条件がすべて揃っていること。
必要な条件とは、保全計画や法整備、遺産の重要性を伝えるために必要な広さの確保、経済開発や管理放棄で負の影響を受けていないか。

簡単解説!- 完全性 -
保護・保全体制が整備されていること。日本の場合、文化遺産は文化財保護法で、自然遺産は自然公園法によって保護されている。

文化的景観

文化的景観とは、人間と自然が共同で作り上げてきた景観のこと。1992年に採択された。
文化的景観が採択されたことによって、いままでは西欧中心だった世界遺産の不均衡は是正され、いろいろな地域から登録されるようになった。

文化的景観の3つのカテゴリー

意匠された景観
庭園や公園など、人間によって設計された景観。

有機的に進化する景観
社会、経済、政治、宗教などの活動が自然環境に影響を与えている景観。過去の建造物が自然景観に溶け込んだ「残存する景観」と、現在も使用されていて今後も自然に影響を与える「継続する景観」がある。

残存する景観の例:ロペ-オカンダの生態系と残存する文化的景観(ガボン共和国)
継続する景観の例:コルディリエーラ山脈の棚田(フィリピン共和国)

関連する景観
自然の要素がその地に住む人間の宗教や芸術、文化的活動に影響を与える景観。

グローバルストラテジー

正式名称は「世界遺産リストにおける不均衡の是正及び代表性、信用性の確保のためのグローバル・ストラテジー」。1994年第18回世界遺産委員会で採択された。

世界遺産条約ができた当初は、城塞や宮殿、教会など西欧中心の遺産が多く偏りがあった。そのためにリストに不均衡が生じ、締約国であるにもかかわらず、ひとつも遺産を保有していない国もあって、ユネスコはグローバル・ストラテジーの概念を取り入れた。

その戦略は、遺産を保有していない国からの登録を強化し、地理的不均衡をなくす。今まで認めてこなかった産業、工業、鉄道関係も遺産登録可能に。登録数の少ない先史時代の遺跡群の登録を強化。20世紀以降の建築物でも顕著な普遍的価値が認められたものは登録する、など。

トランスバウンダリー・サイト(Trans-boundary Site)

トランスバウンダリー・サイトとは、国境を超えた遺産のこと。当初は自然遺産に対して、人為的な国境線にとらわれずに自然遺産を登録するために考えられた概念だが、文化遺産であってもかつては同一国だったが現在は国境にまたがって存在している遺産を多国間で保護・保全していくよう考えられるようになった。

自然遺産では、オランダとドイツ、デンマークにまたがるワッデン海、文化遺産では、フランスとベルギーにまたがるベルギーとフランスの鐘楼群がある。

また国境を超えた遺産であっても、それぞれ別の条件で遺産登録されているためトランスバウンダリー・サイトではないものもあります。
・イグアス国立公園(アルゼンチン/ブラジル)
・サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(スペイン)
・フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(フランス)

シリアル・ノミネーション・サイト(Serial Nomination Site)

シリアル・ノミネーション・サイトとは、連続性のある遺産のこと。文化や歴史的背景、自然環境などが共通する資産を一つの遺産として考え登録した世界遺産。

自然遺産には、ロシアのカムチャッカ火山群、文化遺産には、フランスのロワール渓谷がある。

MAB計画

人間と生物圏計画(Man and the Biosphere program)は、ユネスコが1971年に立ち上げた研究計画。人間の生活と自然環境の相互理解、自然や天然資源の持続可能な利用や環境保全を目的とする。

MAB計画では、保全するための地域として「生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)」を定めて、生態系の保全と持続可能な利活用を目的としている。保護だけではなく、自然と人間社会の共生を目指している。登録件数は119ヶ国631件。

生物圏保存地域は核心地域(コア・エリア)、移行地帯(トランジション・エリア)、緩衝地帯(バッファー・ゾーン)の3段階の地域に分けて保護している。

世界遺産条約では、核心地域(コア・エリア)と緩衝地帯(バッファー・ゾーン)の概念を採用している。

日本は志賀高原(長野)、白山(富山・石川・福井・岐阜)、大台ケ原・大峯山(奈良・三重)、屋久島(鹿児島)、綾町(宮崎)、只見(福島)、南アルプス(長野・山梨・静岡)が生物圏保存地域に指定されている。

簡単解説!- MAB計画 -
自然環境は守りたいけど、それだと生活しづらいぜよ。この中心地(核心地域)は開発しないから、その周辺(緩衝地帯)の開発はちょっと緩めで、さらにその周辺(移行地帯)はもっと緩くお願いしますm(_ _)m!!と住環境と保護の間に妥協点を見つけて、世界遺産とその周辺地域に発生する問題を解決に導く計画。

遠くに住んでいる人間が、環境破壊するなー!、って言うのは簡単だけど、住んでる人にとっては死活問題。文明が発達した現代において、昔と同じ暮らしをしろというのは、無理な話である。バッファー・ゾーンとトランジション・エリアを設けることで、お互いを尊重しつつ、コア・エリアを守ることができる。

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