基礎知識 No.6では世界遺産に関する条約と憲章について解説します。
アテネ憲章
アテネ憲章は、1931年、ギリシャのアテネで開催された第1回「歴史的記念建造物に関わる建築家および技術者の国際会議」において採択された歴史的建造物の修復のための憲章。
損傷や破壊が進んでいるために修復することが不可欠であると思われるような場合においても、いかなる時代の様式も無視せずに、過去の歴史的・芸術的作品を尊重すること。修復には現代の素材や技術を使用することを認めている。
ヴェネチア憲章
ヴェネツィア憲章とは、1964年、イタリアのベネツィアで開催された第2回「歴史記念物関係建築家技術者国際会議」で採択された記念建造物および遺跡の保全と修復のための国際憲章。1931年に採択されたアテネ憲章と違うところは、遺跡、建造物などを修復する際に建設時の材料や工法を尊重することを謳っている点である。
武力紛争の際の文化財の保護に関する条約(ハーグ条約)
1954年、オランダのハーグにて、ユネスコ主導で作成された条約。タイトルの通りなんですが、戦争や紛争の際に文化財を保護するための方針を定めた条約。1999年の第2議定書では、平時においても文化遺産を保護することを義務付けている。
人間環境宣言
人間環境宣言(Declaration of the United Nations Conference on the Human Environment)は、1972年にスウェーデンのストックホルムで開催された国際連合人間環境会議で採択された宣言で、ストックホルム宣言とも呼ばれている。
宣言前文には「人間環境の保全と向上に関し、世界の人々を励まし、導くため共通の見解と原則が必要である」と書かれおり、国際会議で初めて環境保全に関して取り組み、その原則を定めたもの。
共通の見解は全7項目からなり、自然環境を保護、改善していくことが、世界中の人々の福祉と経済発展にとって重要であると明記されている。
原則は、「環境に関する権利と義務」「天然資源の保護」「再生可能な資源」「野生生物の保護」「非再生可能な資源」「有害物質の排出規制」「海洋汚染の防止」「経済社会開発」「開発と促進の援助」「国際協力」「核兵器その他の大量破壊兵器」など全26項目からなる。