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アヴィニョンの歴史地区:教皇庁宮殿、司教の建造物群、アヴィニョンの橋

Historic Centre of Avignon: Papal Palace, Episcopal Ensemble and Avignon Bridge

更新日:

68年間教皇庁が置かれた都市アヴィニョン 

アヴィニョンは、南フランスの都市で、ローヌ川とデュランス川の合流地点に位置するフランスで城壁が残っている数少ない都市のひとつである。1309年から1423年まで教皇が滞在し1790年まで教皇庁の領地であったため、「教皇の街」とも呼ばれている。

登録基準(ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)が認められ、1995年に世界遺産に登録された。

アナーニ事件
フランス国王フィリップ4世は、イギリスとフランドル地方を巡る戦いで戦費を必要としていた。それをまかなうため教皇の許可なく聖職者にも課税しようとしていた。
これに反対する教皇ボニファティウス8世は「ウナム・サンクタム」という勅令を発行し、地上の王に対し教皇が絶対的な優位性を持つことを宣言した。
そして、1303年9月2日に教皇がフィリップ4世を破門するための教皇勅令をアナーニで発行するという情報を掴んだフィリップ4世の側近ギヨーム・ド・ノガレは、ボニファティウス8世と敵対しているイタリアの名門貴族コロンナ家のシアッラ・コロンナとともにローマの東約60kmの位置にあるアナーニに滞在中のボニファティウス8世を襲撃した。
フランスに連行しようとしていたノガレと、その場で殺してしまおうと考えていたコロンナと意見が対立。2日間口論している間に、ボニファティウス8世は逃げることに成功した。しかし、その1ヶ月後、ローマに戻ったボニファティウス8世はこの事件のこともあり憤死してしまった。

その後、ベネディクトゥス11世が教皇に選出されるが8ヶ月で亡くなってしまった(毒殺されたとも言われている)。1305年、次に選出されたのがフィリップ4世の息のかかったボルドー大司教クレメンス5世だった。
クレメンス5世は、派閥争いが激しく、腐敗していたローマに行くことを拒否し、1309年にアヴィニョンに教皇庁を移転させた。それ以降1377年までアヴィニョンに教皇庁があった時代の7人の教皇はすべてフランス人、枢機卿も134人中111人がフランス人で、フランスが完全に教皇を支配下においた時代だった。

アヴィニョンに教皇庁が置かれていた期間を、紀元前598年頃バビロニアでユダヤ人が強制的に収容されたバビロン捕囚になぞらえて、「アヴィニョン捕囚」または「教皇のバビロン捕囚」と呼ばれた。

教皇庁宮殿

教皇庁宮殿は、14世紀に建てられた4.5kmに及ぶ城壁に囲まれたアヴィニョン旧市街の北部に位置し、ベネディクト12世が建てた旧宮殿とクレメンス6世が建てた新宮殿の2つから構成されている。
床面積15,000m2もあり、ゴシック様式の宮殿としてはヨーロッパ最大規模である。15世紀、ローマ教皇庁が完全にローマに返還されるまで、アヴィニョン捕囚時代の7人と教会大分裂時代の2人の教皇がこの宮殿で過ごした。

1355年、ベネディクト12世は前任のヨハネ22世が建てた司教館を取り壊し、その跡地にキオストロ(回廊)を中心とした大きな教皇庁の建設を始めた。建築様式は非常にシンプルで、戒律の厳しいシトー会の修道士であったベネディクト12世の特徴を表している。
1342年、後を継いだクレメンス6世は、旧宮殿とは正反対に豪華な装飾を施した「新宮殿(パレ・ヌフ)」と呼ばれる建物を増築した。新宮殿の壁や天井にはイタリア人画家マッテオ・ジョヴァネッティによるフレスコ画で彩られている。
時代の経過やフランス革命時の破壊行為によって、残念ながらその多くは失われてしまったが、大法廷の預言者たちの天井画、教皇の部屋(鹿の間)の狩猟の場面、聖ヨハネ礼拝堂、聖マルシャル礼拝堂の装飾など、中世の傑作として残されている。

15世紀に、教皇庁がローマに戻り、アヴィニョン教皇庁は放棄され荒廃していった。フランス革命が勃発すると革命軍に占拠され、さらにひどい状態になった。ナポレオンの時代は、軍の兵舎や牢獄として使われ、1906年に国立博物館となり現在では年間60万人以上の観光客が訪れるフランスで有数の観光地となっている。

教皇庁宮殿 / Palais des Papes
住所:Pl. du Palais des Papes 84000 Avignon, France
開館時間:1月〜3月(10:00〜17:00)
4月〜6月(10:00〜18:00)
7月、8月(10:00〜19:00)
9月1日〜11月6日(10:00〜18:00)
11月7日〜12月31日(10:00〜17:00)
休館日:なし
入場料:12EUR(セット券:14.50EUR+サン・ベネゼ橋)
URL:https://www.avignon-pont.com/en

ノートル・ダム・デ・ドン大聖堂

ノートル・ダム・デ・ドン大聖堂は、教皇庁宮殿のすぐ隣に位置するローマ・カトリック教会です。アヴィニョンの教皇たちの即位式や葬儀もここで執り行われた。また、ヨハネス22世とベネディクト12世はここに埋葬されている。
4世紀に建てられ731年にイスラム帝国によって破壊されたバシリカの跡地に12世紀に建てられたと言われている。建物の大部分は12世紀に建てられたロマネスク様式だが、14世紀、ヨハネス22世の時代にゴシック様式の礼拝堂と側廊、17世紀にはバロック様式の後陣とトリビューンが増築された。
内部の装飾品には、肘掛けに聖マルコを象徴するライオン、もう片方の肘掛けに聖ルカを象徴する雄牛がデザインされた白大理石のカテドラ(司教座)や、7人の教皇の肖像画、その他絵画や彫刻、家具などが飾られている。

フランス革命時に放棄され荒廃したが、1835年から1842年にかけて修復された。鐘楼の上の金色の聖母マリア像は1859年に飾られたもの。

ノートル・ダム・デ・ドン大聖堂 / Cathedrale Notre Dame des Doms d'Avignon
住所:Pl. du Palais des Papes, 84000 Avignon, France
開館時間:月曜〜土曜(6:30〜12:00、14:30〜17:30【夏期は18時まで】)
日曜(9:00〜12:00、14:30〜17:30【夏期は18時まで】)
休館日:なし
入場料:無料
URL:https://www.metropole.diocese-avignon.fr/

アヴィニョン橋(サン・ベネゼ橋)

「アヴィニョンの橋の上で」という曲で世界中に知られているサン・ベネゼ橋(アヴィニョン橋)は、ローヌ川に架かるアヴィニョンとヴェルヌーヴ・レザヴィニヨンを結ぶ石造りの橋である。
長さは約900m、幅は約5m、22個のアーチのあるロマネスク様式の橋だったが、ローヌ川の氾濫で大半は壊れてしまい、現存するのは4つのアーチと聖ニコラス礼拝堂、対岸にあるフィリップ4世の塔だけである。

伝説によると、この橋は、羊飼いの青年ベネゼがローヌ川に橋を架けるよう天使に告げられた事をきっかけに作ったと言われている。彼は町の有力者を説得し建設に必要な資金を集め、1177年から1185年にかけて橋は作られた。残念ながらベネゼは過労のため橋が完成する前に19歳の若さで亡くなってしまった。

1226年、フランス国王ルイ8世がアヴィニョンを包囲したアルビジョア十字軍(異端とされたアルビ派を殲滅するために派遣された十字軍)の際に大部分は破壊された。
1234年に再建されたが、ローヌ川が氾濫するたびにアーチが壊れ、維持費がかかるため17世紀半ばに改修工事は行われなくなり現在の姿となった。

サン・ベネゼ橋 / The Saint Bénezet Bridge
住所:Bd de la Ligne, 84000 Avignon, France
開館時間:1月〜3月(10:00〜17:00)
4月〜6月(10:00〜18:00)
7月、8月(10:00〜19:00)
9月1日〜11月6日(10:00〜18:00)
11月7日〜12月31日(10:00〜17:00)
休館日:なし
入場料:5EUR(セット券:14.5EUR+教皇庁宮殿)
URL:https://www.avignon-pont.com/en

ロシェ・デ・ドン(ドンの岩壁)

ロシェ・デ・ドンはアヴィニョン旧市街の北側、ローヌ川沿いにそびえ立つ高さ30mの岩壁のこと。ロシェ・デ・ドンはアヴィニョン発祥の地であり、新石器時代から人が住んでいたと言われている。
1961年に行われた発掘調査では、アヴィニョン最古の石碑として知られる20cmの擬人化された石碑が発見された。

ローマ時代にはカストラムと呼ばれる野営地が建設され、11世紀には伯爵の家が建てられた。1830年、岩山の頂上に英国式庭園が整備された。白鳥やカモが泳ぐ池やカフェ・バーがあり、観光客や市民の憩いの場となっている。
展望台からは眼下にサン・ベネゼ橋、対岸にフィリップ4世の塔、サンタンドレ要塞、シャトーヌフ・デュ・パプ、遠くはヴァントゥー山まで壮大な風景を眺めることができる。

プチ・パレ

Petit Palais

プチ・パレは教皇庁広場の最奥部にある。大司教館とも呼ばれ、1317年教皇クレメンス5世の甥であるベランジェ・フレドール枢機卿によって建てられ、教皇ヨハネス22世の甥であるアルノー・ド・ヴィア枢機卿によって拡張された。1335年、教皇ベネディクト12世は司教館の跡地に教皇庁宮殿を建設するため、アルノー・ド・ヴィア枢機卿が亡くなった後廃墟となっていた建物を買い取り、新しい司教館として使用することにした。
教会大分裂の時代には、教皇ベネディクト13世がアヴィニョンを脱出するまでは軍の兵舎として使用され、現在の姿にしたのは1474年に枢機卿に任命されたジュリアーノ・デッラ・ロヴェーレ(後の教皇ユリウス2世)である。
フランス革命後、1791年に国有財産に指定され、書物や美術品の保管庫として使用され、1976年から美術館になり現在に至る。

カンパーナ、ボッティチェリをはじめとするイタリアの中世・ルネサンスの絵画、アヴィニョン派と呼ばれる14世紀から15世紀のアヴィニョンの彫刻と絵画、アヴィニョンと周辺地域の12世紀から16世紀の彫刻作品を収蔵している。

プチ・パレ / Petit Palais
住所:Palais des archevêques, Pl. du Palais, 84000 Avignon, France
開館時間:10:00〜13:00、14:00〜18:00
休館日:火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
入場料:常設展は無料
URL: https://www.petit-palais.org/

アヴィニョンの歴史地区の登録基準

登録基準(ⅰ)
アヴィニョン歴史地区の建造物群は、教会建築、行政建築、軍事建築の中世の優れた例を示している。

登録基準(ⅱ)
アヴィニョン歴史地区は、14世紀から15世紀にかけて、特に芸術と建築の分野で、ヨーロッパの広い範囲に影響を及ぼした重要な交流があったことを証明している。

登録基準(ⅳ)
アヴィニョン歴史地区は、教皇庁の歴史における重要なエピソードに関連した中世後期の優れた建築物群である。

アヴィニョンまでのアクセス方法

Air France Airbus A319
Air France Airbus A319 / arunpnair

日本からパリまでは、エール・フランス、日本航空、全日空が直行便を運行している。その他の都市へ行くには乗り継ぐ必要がある。
アヴィニョンへはマルセイユかモンペリエ、リヨンへ行き、TGVに乗りアヴィニョンへ。



アヴィニョンのホテル情報

アヴィニョン周辺のホテル料金は4,000〜20,000円

シティ・レジデンス・アヴィニョン
レジーナ・ホテル
ア・ロンブレ・デュ・パレ
オテル・ラ・スイート
ホテル・デューロップ

アヴィニョンまでの旅の予算

ツアー代金は、8日〜10日で、400,000円〜。

個人旅行の場合

往復航空券(1都市滞在)
羽田→イスタンブール→マルセイユ(19時間10分)/ ターキッシュ・エアラインズ
=240,000円

電車代
マルセイユ→アヴィニョン(1時間16分)
=31EUR✕2=62EUR

宿泊代
アヴィニョン4泊:10,000✕4=40,000円

ツアー代金
南仏ローマ遺跡を巡る旅☆世界遺産アルルとポンデュガール、レボー・ド・プロヴァンス(135EUR〜)
魅力たっぷり!リュベロン周遊 ゴルド、ルシヨン、フォンテーヌ・ド・ヴォークリューズ 終日ツアー(110EUR)

合計300,000円〜(参考価格)

個人旅行の場合(パリ〜アヴィニョン〜ニース)

航空券
往路:成田→イスタンブール→シャルル・ド・ゴール空港(22時間)/ エミレーツ航空
復路:ニース→イスタンブール→成田(18時間40分)/ エミレーツ航空
=181,000円

電車代
パリ・リヨン駅→アヴィニョン(3時間〜3時間30分)
=60EUR(変動制のため条件によって料金が変わるため参考まで)

アヴィニョン→ニース(4時間〜5時間)
=50EUR(変動制のため条件によって料金が変わるため参考まで)

宿泊代
パリ2泊:10,000✕2=20,000円
アヴィニョン2泊:10,000✕2=20,000円
ニース2泊:12,000✕2=24,000円

現地ツアー代
南仏ローマ遺跡ツアー 世界遺産ポンデュガール&レボードプロヴァンス&ゴッホゆかりの地サンレミドプロヴァンス <半日/日本語または英語ガイド/アヴィニョン発>(75EUR〜)
おすすめガイドがご案内!南仏観光ツアー モナコ公国&鷲の巣村エズ&映画祭の都市カンヌ&リゾート地アンティーブ&ニース <日本語ガイド/ニース発>(200EUR〜)

合計270,000円〜(参考価格)

※燃料費の高騰や為替相場の変動などにより、価格が変更されることがよくあるので、金額はあくまでも参考程度にお考えください。

基本情報

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