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卓越した技術力で作られた古代ローマ時代の水道橋ポン・デュ・ガール
ポン・デュ・ガールは、フランス南部ガール県、ヴェール・ポン・デュ・ガールの街の近くを流れるガルドン川に架かる3層構造の古代ローマ水道橋で、ユゼスの街の麓にあるユールの泉からネマウスス(現在のニーム)までおよそ50km、水を運ぶために結ばれた水道網の一部である。
水道橋の建設は紀元前19年頃、ローマ皇帝アウグストゥスの娘婿で側近のアグリッパによって建設されたと言われているが、最近の発掘調査によると、クラウディウスとネロの治世(紀元40年から60年)に作られたと推察されている。
ローマ帝国によって植民地化されたネマウススはルグドゥヌム(現在のリヨン)とローマを結ぶ中継都市として急速に発展。人口は2万人近くまで増加し、地元の水源だけでは町に十分な水を供給することが難しくなった。
ガルドン川は夏は干上がり冬は氾濫するため、近くに安定した水量を持つ川は見つからなかった。また町の標高が低いためガルドン川から水を引くことはできなかった。そこでローマ人は、ユゼスの近郊から湧き出るユールの泉から水を引くことにした。
この泉からネマウススまでは直線距離だと20kmほどだが、この地点の岩盤が硬く当時の技術ではトンネルを掘ることはできなかった。そこで、ローマ人はローマ街道に沿っておよそ50kmの迂回路を作りネマウススまで水を運ぶことにした。しかし水源からネマウススまで高低差はわずか13mしかないため設計者はルート全体の傾斜を正確に計算しなければいけなかった。1kmあたり24.8cm、現在でもかなり困難になりえるであろう工事を2000年以上前のローマ人が作り上げたのだ。その技術力の高さは驚異的である。
水道橋の工期は3年から5年、水道網全体では15年かけて建設された。建設には技術者や奴隷など合わせて800人から1,000人の労働者が従事し、建設に使用された50,400トンもの石灰石は橋からわずか700mの位置にある採石場から運ばれ、石材のほとんどはモルタル(接着剤)を使用せず、石の重みと摩擦によって結合されている。
ポン・デュ・ガールの高さはローマ人が作った水道橋の中で最も高く48.8m。3段構造で下段に最も幅が広い6つのアーチ、中段に11のアーチ、上段に35のアーチがあり、274mの水路を支えている。
最盛期には毎日40,000m3の水が「カステラム・ディビソルム(castellum divisorum)」と呼ばれる貯水槽に運ばれ、そこから地下に張り巡らされた水道管を通して浴場、噴水、円形闘技場、民家などへ水が供給された。
ニーム水道網は4世紀頃までは定期的に使用されていたが、ローマ帝国の滅亡や侵略者の襲来によって地域は混乱し、橋の保守作業は行われなくなり、水に含まれるカルシウムの堆積や自然の目詰まりによって水の流れは止まってしまった。
水道橋としての役目を終えた後は、歩道橋して利用されるようになった。地元の領主や司教は通行料を徴収し、その資金を維持管理に充てた。そのため多くのローマ時代の建築物のように石材として解体されることなく保存されてきた(上段アーチの一部は解体されている)。
18世紀には、橋を補強する目的で隣接する形で新しい橋が作られた。橋を作った技術者アンリ・ピトーの名前にちなんでピトー橋と呼ばれている。
1840年に歴史的建造物に指定され、1850年、ナポレオン3世がポン・デュ・ガールを訪れて以来、この橋は大きく注目を集めるようになった。1853年から1855年にかけて修復作業が行われ、観光客が安全に見学することができるようになった。
1985年、登録基準(ⅰ)(ⅲ)(ⅳ)が認められ世界遺産に登録された。
住所:La Bégude 400 Route du Pont du Gard, 30210 Vers-Pont-du-Gard, FRANCE
開館時間:9:00〜20:00(1月〜3月)
9:00〜21:00(4月、5月)
9:00〜22:00(6月)
9:00〜24:00(7月〜8月)
9:00〜22:00(9月)
9:00〜21:00(10月、11月)
9:00〜20:00(12月)
休館日:なし
入場料:6.50ユーロ(大人)、無料(18歳未満、学生、障害者)
駐車場料金:9ユーロ
ガイド料金:12〜15ユーロ(大人)、6ユーロ(子供)※入場料含む
URL:https://www.pontdugard.fr/en
登録基準
登録基準(ⅰ)
ポン・デュ・ガールは、ローマ帝国の技術の最高傑作であり、その存在によって景観を一変させる優れた芸術作品である。
登録基準(ⅲ)
ポン・デュ・ガールは、ローマ帝国の水道橋の中でも例外的な建造物であり、ローマ帝国の技術者や建築家が、この文明の特徴のひとつである都市や地域の発展に貢献したことを示すユニークな証拠となっている。
登録基準(ⅳ)
ポン・デュ・ガールは、ローマ帝国時代の建設過程を示す代表的な作品のひとつである。
ポン・デュ・ガールまでのアクセス方法
Air France Airbus A319 / arunpnair
ポン・デュ・ガールへ行くためには、まずはアヴィニョンかニーム、アレスへ電車で行くことになる。パリからアヴィニョンまでは2時間45分くらい、二ームまでは3時間、アレスまでは4時間30分。アヴィニョン、ニーム、ユゼス、アレスからバスで行くことができる。所要時間は40分から1時間くらい。季節によって異なるが、片道1日2本から8本のバスが運行されている。バスの本数は少ないし、レンタカーも割高なので、アヴィニョン発のツアーに参加するのがおすすめ。
ポン・デュ・ガール周辺のホテル情報
アヴィニョンのホテル料金は4,000〜20,000円
・シティ・レジデンス・アヴィニョン
・レジーナ・ホテル
・ア・ロンブレ・デュ・パレ
・オテル・ラ・スイート
・ホテル・デューロップ
ニームのホテル料金は、8,000〜30,000円
・ノボテル・アトリア・ニーム・センター
・マジェスティック・ホテル
・ロイヤル・ホテル
・イビス・スタイルズ・ニーム・ガール・センター
・Suite6
ポン・デュ・ガールまでの旅の予算
南仏をめぐるツアーに参加し、オプションツアーでポン・デュ・ガールへ
ツアー代金:¥200,000〜
個人旅行の場合
往復航空券(1都市滞在)
成田→ドバイ→シャルル・ド・ゴール空港(22時間)/ エミレーツ航空
=181,000円
電車代
パリ・リヨン駅→アヴィニョン(2時間)
=45〜135EUR✕2=90EUR〜
宿泊代
パリ3泊:10,000✕3=30,000円
アヴィニョン2泊:20,000✕1=20,000円
現地ツアー代
・南仏ローマ遺跡ツアー 世界遺産ポンデュガール&レボードプロヴァンス&ゴッホゆかりの地サンレミドプロヴァンス <半日/日本語または英語ガイド/アヴィニョン発>(75EUR〜)
・世界遺産ポン・デュ・ガールとローヌ地方ワインツアー シャトーヌフ・デュ・パプ&タヴェル <試飲付(2軒)/日本語または英語ガイド/アヴィニョン発>(75EUR〜)
合計255,000円〜(参考価格)
※燃料費の高騰や為替相場の変動などにより、価格が変更されることがよくあるので、金額はあくまでも参考程度にお考えください。