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800年の歴史が刻まれたドイツのシンボル「ケルン大聖堂」
ケルン大聖堂は、ノルトライン・ヴェストファーレン州の都市ケルンにある聖ペテロと聖母マリアに捧げられたローマ・カトリック教会で、正式名称は「ザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂(聖ペテロ&マリア大聖堂)」。
この教会の最初の建物は313年に建設された小さな礼拝堂でした。しかし、870年にヴァイキングがライン川沿いを襲撃した際に教会は破壊されたと言われている。その後、873年から882年にかけて再建され、1248年の取り壊しの際に火災で消失するまで数世紀にわたって存在した。
当時のケルン大司教であったライナルトはより壮大な大聖堂の建築に着手。彼は、フランスで大聖堂を手掛けていた建築家ゲルハルトを招き、1248年に建設が始まった。その後、何世紀にもわたって何度も工事が中断され、再開されたのは19世紀になってからである。
14世紀初頭の図面の原画がダルムシュタットで発見され、1842年に工事が再開された。632年の歳月を経て1880年に最初の図面通りの純粋なゴシック様式で完成した大聖堂は、歴史上最も長い建設プロジェクトのひとつとなった。
外観は高さ157mを超える2本の巨大な尖塔が街を見下ろすようにそびえ立ち、ゴシック様式の複雑なディテールや彫刻は、世界で最もすばらしいゴシック建築の一例となっている。
大聖堂の内部も同様に印象的で、大聖堂を支える巨大な柱、リヴヴォールトの天井、繊細な彫刻、複雑なステンドグラスがある。また、大聖堂には有名な「東方三博士の聖遺物箱」をはじめ、多くの重要な聖遺物が保管されている。
第2次世界対戦中に14発の空爆を受け、身廊、トランセプト、聖歌隊席に甚大な被害を受けたが、大聖堂が崩れることはなかった。戦後、修復作業が行われ1990年に完了。
大聖堂は、その美しい尖塔やフライング・バットレス・彫刻やステンドグラスなど中世ゴシック建築の傑作として高く評価され、聖遺物「東方三博士の遺骨」の保管場所としても知られ、巡礼者が訪れる聖地だった。また、第二次世界大戦中には、ドイツの文化財や歴史的建造物が破壊される中、ケルン大聖堂は爆撃による被害はあったものの戦後に修復された。このような文化的、歴史的、建築的価値からケルン大聖堂は1996年に世界遺産に登録された。
東方三博士の聖遺物箱
東方三博士の聖遺物箱は、ベツレヘムの幼子イエスを訪れたとされる東方の三博士、メルキオール、カスパール、バルタザールの骨が納められている。
三博士の聖遺物は、4世紀、コンスタンティヌス帝の母である聖ヘレナによって聖地からミラノにもたらされたと伝えられている。その後、12世紀にケルン大司教のライナルトが、ケルン市と大聖堂への贈り物として聖遺物を持ち込んだ。
聖遺物箱は、1181年から1220年にかけて金細工師であるヴェルダンのニコラスによって設計・製作された。金箔を施したブロンズ製で、キリストの誕生、洗礼、磔刑など、キリストの生涯を描いた場面が描かれている。
複雑な金細工、サファイア、エメラルド、真珠などの宝石、エナメルを組み合わせた聖遺物箱は、大聖堂の中で最も重要で尊敬されている美術品の一つであり、世界中から多くの観光客が訪れている。
シュテファン・ロホナーの「三博士の礼拝」
「三博士の礼拝」は、16世紀初頭にケルンの画家シュテファン・ロホナーによって制作され、ドイツ後期ゴシック時代の最も重要な祭壇画のひとつとされている。祭壇画の中央にはマギの礼拝が描かれており、三博士が幼子イエスに贈り物を捧げている。右側の扉にはテーベ軍団の聖ゲレオンとその戦友、左側の扉にはブリタニア出身の聖ウルスラが描かれている。
ゲロクロイツ
ゲロクロイツは、大司教ゲロの依頼で10世紀後半に制作された木製の十字架で、ロマネスク彫刻の最も古い例の一つであり、キリスト像の原型とされている。
ステンドグラス
ステンドグラスは、13世紀から20世紀にかけて作られたものが飾られており、最も有名なのは「東方三博士の礼拝」。この窓は13世紀に作られたもので、赤ん坊のイエスを訪ねた3博士の物語が描かれている。中世のステンドグラスとしては世界最大のもので、高さ約10メートル、幅約6メートルもある。
ケルン大聖堂の南側トランセプトには、現代ドイツ人芸術家ゲルハルト・リヒターが2007年に制作したステンドグラスが飾られている。このステンドグラスは、第二次世界大戦中に破壊された元々のステンドグラスを置き換えるために制作された。リヒターは、聖書や信仰に関するテーマを用いた伝統的なステンドグラスとは異なり、抽象的なデザインを採用し、一見すると教会の窓とは思えないような美しい光の表現が特徴的。窓は、72色の正方形のガラス11,200個を格子状に配置したもの。深い赤や青、柔らかい緑や黄色まで様々な色が使われている。
登録基準
登録基準(ⅰ)
ケルン大聖堂は、人間の創造的な才能による傑出した作品である。
登録基準(ⅱ)
6世紀以上に渡って建設されたケルン大聖堂は、大聖堂建築の頂点であると同時に、その集大成でもある。
登録基準(ⅳ)
ケルン大聖堂は、中世と近代のヨーロッパにおけるキリスト教信仰の強さと持続性を力強く証明している。
アクセス
日本からケルンへの直行便はないが、フランクフルトへは全日空、日本航空、ルフトハンザ航空などが直行便を運行している。
フランクフルトからケルンまでは鉄道で約1時間30分ほど。大聖堂はケルン中央駅の目の前にあります。
ホテル
ケルン大聖堂周辺にあるホテルを紹介します。
・エデン・ホテル・フルー・アム・ドム
・XII・アポステル・アルベルゴ
・シュタットテル・アム・ローマートゥルム
・コートヤード・バイ・マリオット・ケルン
・ヒルトン・ケルン
旅の予算
ツアー代金は、5日間で¥220,000〜くらい。
個人旅行の場合
往復航空券
LOTポーランド航空(乗継便):成田→ワルシャワ→フランクフルト(17時間25分)
=130,000円
列車代
フランクフルト→ケルン:13EUR〜✕2=26EUR(3,600円)
宿泊代
ケルン3泊:10,000✕3=30,000円
現地ツアー代
・旧市街ハイライト ウォーキング ツアー(26EUR/3,670円)
合計167,270円(参考価格)
※燃料費の高騰や為替相場の変動などにより、価格が変更されることがよくあるので、金額はあくまでも参考程度にお考えください。