基礎知識 No.7では、世界遺産登録までの流れを解説していきます。
推薦の条件
世界遺産の基礎知識 No.4で解説した5つの条件を備え、顕著な普遍的価値があり、真正性、完全性が明確で「世界遺産条約履行のための作業指針」で定められた登録基準10項目のうち一つ以上当てはまること。
推薦書には以下の項目を含む必要がある。
資産の特定
名称や所在地、地図などを記載。
資産の内容
構成資産の建造物などの詳細や歴史について。
登録の価値証明
世界遺産にふさわしい顕著な普遍的価値があることを証明。
資産の保全状況と資産に与える影響
構成資産の保全の状況と資産の価値に影響があると考えられる周辺の開発や災害などと、その対策について。
資産の保護と管理
法的保護と緩衝地帯の設置状況、管理していく方法や計画などについて
経過観察の体制
登録後の資産の保全状況を確認、モニタリング指標、体制について
登録までの流れ
世界遺産を登録するためには、世界遺産条約を締結し締約国になる必要がある。ただしユネスコの加盟国である必要はない。
締約国は、10年以内に世界遺産登録を目指す物件を記載した暫定リストを作成する。
暫定リストの中から、要件の整ったものを1年に2件(文化遺産:1件、自然遺産:1件)まで推薦することができる。2月1日が提出期限。
ユネスコ世界遺産センターは推薦書を受理すると、文化遺産はICOMOS、自然遺産はIUCNへ専門調査を依頼する。
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文化遺産
ICOMOS(国際記念物遺跡会議)が現地調査を行い、世界遺産登録できるか評価する。
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自然遺産
IUCN(国際自然保護連合)が現地調査を行い、世界遺産登録できるか評価する。
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調査・結果報告
世界遺産委員会開催の6週間前までに評価報告書を世界遺産センターへ提出。
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調査・結果報告
世界遺産委員会開催の6週間前までに評価報告書を世界遺産センターへ提出。
ICOMOSとIUCNによる現地調査の結果、追加報告書や改善の必要な箇所があれば遺産保有国へ連絡する。
毎年1回開催される世界遺産委員会で評価報告書を元に登録するかどうか審議する。
「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階で決議される。
推薦書を提出してから登録が決定されるまで1年半ほどかかる。